Wed. 水曜日の明け方に君の夢を見た





ふわり、


まるで花のような笑顔を浮かべて、彼は俺を見た。


彼の、ちいさく開いた口は、なにか言葉を綴る。


だけど、聞こえない。

ああ、どうして。

他の音なんていらないから、彼の音さえ聞こえれば、俺はそれでいいのに。


もどかしさを感じていた、その間に、彼はにこり、再び微笑んで、俺に背を向け歩き出した。


行くな




伸ばした手は、届かなかった。



空を切った、その手の動作に、意識がいきなり覚醒した。


ああ、夢だったのか。


自覚する前に、目の前に、夢の前で消えて言った彼の顔。



「・・・ラビ」


夢の中で伸ばして、空を切ったその手で、ラビをそっと撫でた。


ゆるり、と目を開けたラビと、視線が混じりあう。


「おはよ、ラビ」


ふらふらと、彷徨う視線。
未だ覚醒しきらないラビに、笑顔を投げかける。


つられたように、ラビも微笑んだ。
夢の中と同じ笑顔で。


「ティキ、」




ちいさく開いた口は、夢で見たラビと同じ動きをした。



「だいすき」



言って、満足そうに微笑んだラビは、再び夢の世界に旅立った。




ラビがここにいる、その幸せをかみ締めながら、再び俺も眠りについた。






===================================================================

Dグレ復活記念週間第五弾!