Tue. 火曜日のポケットには返し忘れた150円





「んじゃ、また明日なアレン!」

眩しい笑顔を浮かべて、ラビは夕日の中へ、その姿を消した。
ああ、おそらく彼の帰るその場所には、彼の最も慕う(愛してる、とは決して認めたくない)男がいるのだろう、そう思って、多少切なくなり、背中を丸めて制服のポケットに手を突っ込んだ。

チャリン、と金属が触れ合う音。

そこで、忘れ去っていた記憶がぽん、と脳裏に蘇った。

「150円…返すの忘れてた…」

一人、呟いたその言葉は、言葉とは裏腹に、すこし喜びを含んでいると自分で思った。

だって、これでまた会う理由が。

会って、彼と言葉を交わす理由が出来たのだから。

弾んだ気持ちのまま、鞄から携帯電話を取り出しメール画面を開く。



『すみません。150円返すの忘れてました!また明日返します』



素っ気ないかもしれないが、こんなメールにも彼は文面だけで彼の表情が読みとれるような返事を返してくれるのだろう。

返事を楽しみにしながら、僕は家への道を歩き出した。





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Dグレ復活記念週間第四弾!
寝るまでが今日、だとか言い訳してみる