「ガイ!昼休憩行っていいぞ!」

「はい!じゃあ、休憩いただきます!」

深淵大学工学部で工学を学ぶガイは、知り合いのつてで整備工場でバイトをしていた。

その工場の制服であるツナギに身を包み、首からは汗を拭くのに効率のよいようにタオルをかけていた。

9月とはいえ残暑のきびしい季節だ。肉体労働をして汗をかかぬわけも無く。

休憩をもらったガイは、とりあえず作業をするためにしていた軍手を取り、首にかけてあるタオルで首を伝う汗をふき取った。

昼の休憩は、昼食をとるために他の休憩よりも長い時間をとっている。

少し余裕のあるガイは、事務所に戻る前に自販機でスポーツドリンクを購入した。

冷たく冷えたそれを、頬に押し当て、気持ちよさそうに目を細める。



「はあ。気持ちいい・・・。」

よほど気持ちよかったのか、そのまま事務所に戻り、朝自らが作った持参しているはずの弁当を探した。

「・・・あれ?」

だが、普段弁当が入っているべき場所に弁当は無かった。

ガイはスポーツドリンクを近くの机の上に置き、そして再びしっかりと探しだす。

「・・・忘れた?」

などと、問いかける形になってはいるが、返事を返してくれる人間がここに居るわけでもなく。

むなしい沈黙がただ存在するだけだった。

「あーあ・・・。どうするかな・・・」

と、彼が今日のこれからを考えようとした時、事務所の外から彼の先輩に当たる人物が彼を呼ぶ声。

「ガイ!ガーイ!」

「はい!今行きます!どうしました?」

「いや、お前に客。」

「客?」

ほら、あっち。

と彼の先輩の親指が指す方向を見れば、見慣れた赤い髪。

「ルーク!」

「あ、ガイ!」

「どうした。こんなとこまで。」

「ガイ、弁当忘れたろ?届けに来た」

「ルーク・・・わざわざ届けに・・・?」

「ああ。もしかして・・・迷惑だったか・・・?」

「いや、うれしいよ。ありがとう」

そういって、ルークの差し出した弁当箱を受け取り、微笑みながらガイは空いているほうの手でルークの頭をなでた。

自らの頭を撫でる手に、気分をよくしたのか、ルークはそのままガイの胸に抱きついた。

「ちょっ・・・ルーク!?」

「ガイ大好き」

聞きなれてしまったその告白に、それでもガイは嬉しそうに優しく微笑んで、

「俺もだよ」

小さく呟いて、ガイもルークをしっかりと抱きしめた。






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絵チャ中に、コメちゃんが描いたツナギガイに萌えて、かつ、途中で落ちるといったコメちゃんに「何か書くよ」といったら、「ツナギでバイトしてるガイにお弁当を持って行くルーク」ってリクが来たので出来たもの。
コメちゃんに捧ぐ。