犬派・猫派




「ラビは、犬のほうが好きですか?猫のほうが好きですか?」

任務先への汽車の中。

唐突にそんな質問を投げかけてきたのはアレンだった。

質問を投げかけられたラビは、本から視線を上げて、向井側に座るアレンを見た。

ラビの隣でなぜか不機嫌そうに景色を見ていた神田も、いきなりなにを言い出すんだテメエは、という表情でアレンを見る。


「どっちが好きですか?」

ちなみに僕は、犬が好きです。とアレンは言う。

「何で犬?」

「それがですね、アジアのほうの、ある国では食用犬がいるらしいんですよ。
とても、美味しいらし「だー!いい!いいさ、言わなくて!」

さわやかな笑顔で言い切ろうとしたアレンの言葉を、必死でラビが遮った。

遮られたアレンは、やや不満気な表情を見せたが、すぐにいつもの笑顔に戻り、再び同じ質問を投げかけた。

「んー。そうだなー。オレはどっちだろ。あ、ユウは?」

顎を手の上に乗せる、という一般的な考えるポーズをとってうんうんと考えながら、ラビは神田にもその問いを投げかける。

「知らん」

一刀両断。神田の返答は、そんな言葉がふさわしかった。


「神田はどうでもいいです。ラビは?結局どっちがすきなんですか?」

そのアレンの言葉に、神田がなにやらわーわーと騒ぎ出したが、気にしないことにする。

「そうだなー、俺は・・・」

と、ラビが最終的な結論を言おうとしたとき、それは突然現れた。

「ちなみに俺は、うさぎ派。」

それは、なぜか突然現れた。
走行中であるはずの汽車の窓から(それも閉じたままの窓から)、手首から先と、首から上だけが車内に現れ、
そして、その一言だけを言うと、現れた手と首から上は、じゃ、オレはこれで。と無駄にさわやかな笑顔を残して去っていった。



「なんだ今のは・・・」

「お、おおお化けですかね・・・?」

呆然とする神田やアレンをよそに、ラビは違う意味で呆然としていた。



なんでティキが今ここにいたんさ・・・!!!


===================================================================

神出鬼没似非紳士。