もったいない人




「ティキ、」

「ん?・・・って、なに?」



名前を呼ばれて振り向いた、そのティキの顔をラビは突如、捕まえた。

「…………………。」


「…何?」



「黙って」


「………。」


「………。」


じっと、ラビはティキの顔を固定したまま見つめ続ける。
途中、自分の顔を傾けたり、見る角度を変えたり、などしつつ。

さすがに、理由もわからずみられ続けるのは(しかもなぜか顔を固定されたまま)きついものがあったのだろか、ティキは居心地が悪そうに目をそらした。

そして、ティキが、そろそろ肩凝ってきたなあ・・・などと考え出した時、ラビが口を開いた。

未だ首は固定されたまま。


「もったいないさ。」


「は?」

ずっと見られた挙句の第一声が「もったいない」

ティキは、疑問を隠しもせず表情に表した。


「絶対にもったいないさ!黙ってればティキって美形なのに!」


熱く、ラビは言い切ってから、そして、やっとティキの顔を開放した。



「はあ・・・?じゃあ、ラビはオレに「喋るな」って?」

「そうじゃなくて!もっと、なんか・・・バカな事ばっかり言わないようにして欲しいさ。」

「……バカなことって例えば?」

「・・・っとにかく!いらん事は言わんでいいさ!」


投げやりに言うと、ラビはティキに背を向けて座った。
髪の毛の隙間から見える耳は、なにを照れているのか真っ赤だった。

「ラビ、可愛い。」

「・・・っ!」

「照れてんの?」

「・・・照れてないっ!」

「かーわいい。」


ぎゅー、っとラビを後ろから抱きしめ、ふかふかの毛布へ顔をうずめる時のような幸せそうな表情で、ティキはラビの首へ顔をうずめた。

「……ばか。」


真っ赤な顔で、ラビはそう呟いて、そのままティキへ身を任した。


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んー。今この二人は一体どういう状況にいるんだろう?